例年通りスケジュールが進んでいればAppleはあと2ヶ月ほどで新型iPhoneを発表すると思われます。
しかし、現在になっても「iPhone8」の有機EL(OLED)ディスプレイにTouch IDを埋め込む技術的な問題を解決できていないと、KeyBanc Capital MarketsのアナリストであるAndy Hargreaves(アンディー・ハーグレイブズ)氏らがレポート内で発表しました。
OLED埋め込み式Touch IDは精度と速度の問題が…
次期「iPhone8」のプロトタイプで有機ELディスプレイ内に埋め込まれたTouch IDは、指紋認証の精度・速度ともに現行iPhoneシリーズのTouch IDに慣れたユーザーを満足させることはできないレベルとのこと。
先日、世界に先駆けて中国ベンダーのVivoが披露したディスプレイ内蔵型の指紋認証センサーを搭載したスマートフォン試作機を披露が話題になりました。
しかし、その試作機も指紋認証に対応している領域が狭く、指紋認識の精度も低いなど課題が山積みという評価を下されていました。
Appleは遅くとも来月8月には指紋認証センサー用のチップを発注する必要があり、もしこのタイミングを逃してしまうと次期「iPhone8」にはTouch IDが搭載されない、あるいは発売が大幅に遅れる可能性があります。
Andy Hargreaves氏らが公開したレポートでは、指紋認証センサー用のチップの発注が遅れていることから以下のように次期「iPhone8」の今後について指摘しています。
・指紋認証センサー用のチップは「iPhone8」のフル生産開始の12週間前には発注されると予測される
・Appleが8月前にチップを発注した場合は「iPhone8」のフル生産は10月下旬〜11月上旬になる可能性がある
このことから、仮に次期「iPhone8」が例年通り9月に発売されたとしても、入手困難な状態が続くかもしれません。
顔認証が指紋認証の代わりになることはない?
ここ最近はTouch IDは搭載されず、そのかわりに3Dセンサーを用いた顔認証や虹彩認証が採用されると噂されてきましたが、Andy Hargreaves氏らが公開したレポートにはこれについて、Apple Payの使用に問題が生じるため望ましくないだろう、と記されています。
顔を正確に認識するためには複数の角度から認識する能力や暗いところでも正確に動作することが必要で、仮に読み取り失敗率が5%でもユーザーは1日に何度も顔認証をやり直さなければならず、かなりのユーザビリティの低下が考えられます。
また、逆にユーザビリティ向上を考えるとSamsungのGalaxyのような写真で突破できてしまうセキュリティレベルの低い顔認証となってしまうかもしれません。
こうした背景からAndy Hargreaves氏らは、Apple Payを顔認証のみで行うのは現実的とはいえないし、「iPhone8」にApple Payが非搭載となることも考えにくいことから、「iPhone8」の発売が遅れる可能性は高いのではないか、と予測しています。
Source:Barron’s
(yorimorishima)