2017年にリリース予定の次期iPhoneでは2〜3モデルのうち、1モデルに有機ELディスプレイ(OLED)が搭載されることが期待されています。
ところが、有機ELディスプレイを供給するメーカーの状況はなかなか厳しいものがあるようです。
有機ELディスプレイの供給量が足りない?
これまで数多くの有名アナリストたちが、次期iPhoneは有機ELディスプレイを搭載すると予測してきました。
今後はiPhoneだけでなく他社のスマートフォンへの搭載も見込まれており、将来的に従来の液晶ディスプレイ(LCD)と置き換わるといわれています。
実際に有機ELディスプレイ製造装置を提供しているApplied MaterialsやCoherentは2016年の受注が大幅に増加したといいます。
ところが、現在有機ELディスプレイを確実に供給する準備が整っているのはSamsungだけであり、スマートフォンメーカー各社は有機ELディスプレイを採用したくともできないようです。
中国のスマホメーカー間では、有機ELディスプレイ確保のために共同出資を行い、有機ELディスプレイを製造する新会社を設立する計画まであると報じられています。
2016年は中国のスマートフォンメーカーからの需要が増え、液晶ディスプレイ価格が上昇し、Samsungのライバル会社LG Displayの株価は1月以降43%も上昇しています。なお、2017年は中国メーカーによる供給量が増えると想定されるので、液晶ディスプレイ価格は再度下る見通しです。
有機ELディスプレイに多額の投資、しかし見返りは…
LGやジャパンディスプレイ、シャープなどのAppleの主要サプライヤーは有機ELディスプレイ供給に向けて多額の投資を行っていますが、有機ELディスプレイ搭載スマートフォンが主流になるのにはまだ時間がかかるため、実益に結びつくまでに巨額の支出に苦しめられることになりそうです。
さらに、こうした有機ELディスプレイへの投資がそれに見合う収益が約束されたものではないということもあります。
今後有機ELディスプレイの供給量が増加して価格が低下すると、当然利益も減少してしまいます。有機ELディスプレイの供給量が増えた際には液晶ディスプレイの価格低下も想定されます。
有機ELディスプレイは、Samsungを除く各サプライヤーにとって希望でありながらも先行き不透明なものといえるでしょう。
Source:[ WSJ ]
(yorimorishima)